巣箱について

ハムスターの巣箱というと、市販品では「陶器製」「木製」「プラスチック製」といった材質の巣箱が挙げられます。
初めてハムスターを飼う人もこういった市販品から選ぶ人が多いでしょう。

私自身は、どのような材質の巣箱であろうと構わないと思います。
陶器には陶器の特性が。木には木の特性が。プラスチックにはプラスチックの特性があり、それぞれ一長一短あるものの材質が原因で問題が起こる可能性は極めて低いでしょうから、
それぞれの材質が持つ特性を上手に利用すれば良いだけの話です。
逆に、その材質の特性を理解していないとか、間違った知識で使っていると...
ハムスターにとって劣悪な酷い環境を与えてしまうことになります。

例えば
「木は通気性が良いのでハムスターに優しい」と謳っているものの、使われている木材の特性を人間の都合のいいように理解している製品があります。
その巣箱を使っている人の飼育記録を拝見すると、揃って判を押したかのように「ペレットにカビが発生した」「結露した」といった“ありえない状況”を作り出しているのを多く目にします。
しかも問題なのは、その巣箱が原因であるにもかかわらず「掃除をサボったから」とか「湿度が高いから」という言い訳をして自分自身を納得させていて、本質を理解し解決しようと考えないのが苛立たしく感じます。
推奨する方も問題ありますが、使う方も推奨者の言葉を鵜呑みにせず、自分でシッカリと調べてみましょう。

さて本題。
一番の問題は材質ではなく、その形状と大きさにあります。
陶器製やプラスチック製の巣箱に多いサイズが、ハムスター1匹が丸くなってピッタリ収まる程度の大きさしのモノです。
これが木製になると、1匹ピッタリサイズや、2~3匹が入れる程度の大きさの物など、若干サイズが選べます。

基本的にハムスターに必要とされる巣箱の大きさは、ハムスターが3匹入って眠れる程度のサイズとされています。
※ハムスターの複数同居飼いを薦めているのではなく、感覚的なサイズ定義の表現であることを理解してください。

ハムスター1匹が丸くなって収まってしまう巣箱は、それを好む個体ならば問題ありませんが、成長し体格も大きくなってくるとハムスター自身が居心地の悪さを感じるようで、突然巣箱を使わなくなることがあります。
この場合の解決策は、ハムスターの好みに応じたサイズの巣箱を与えてあげればOKです。

前に基本は「ハムスターが3匹入って眠れる程度のサイズ」と記述しましたが、ハムスターによってはそれを「大きい」と感じる個体がいます。
このような個体は、巣箱の中でオシッコをしてしまうことが多く、寝室とトイレの境界を巣箱の中で作ってしまうのが原因です。

巣箱の中でオシッコをしてしまう場合には、巣箱の大きさを少しずつサイズダウンさせていくと、ある大きさでピタリと巣箱内オシッコを止めて、きちんとトイレへ行ってオシッコをするようになります。
どのサイズが最適なのかは、ハムスターの性格によりますから一概には言えませんが...
ジャンガリアンで概ね<幅120mm×奥行き80mm>で巣箱を寝室として認識し、巣箱内でオシッコはしなくなるでしょう。
巣箱の高さは80~90mmほどを必要とし、床底は無いものとします。

ある巣箱では、大きな木枠製巣箱内をいくつかの部屋に区切って、寝室やトイレとして使わせる特殊な形状をした製品があります。
しかし、この製品を使っている多くの飼い主が、先に記した「ペレットにカビ」や「結露」を発生させている事態になっています。

そもそも木枠で仕切って数個の部屋を作り、一つの巣箱として寝室からトイレなどを全て賄おうとするのが間違いです。
自然界におけるハムスターの巣は、確かに地中に数個の部屋を作って使い分けをしていますが、あくまでもそれは土壌における営巣であり、オシッコや体温から発する湿度などは土壌が吸収するものです。
木の板にオシッコをするのと、果てしなく続く土壌にオシッコをするのとでは、どちらが衛生を保てるかは子供でも理解できるはずです。
※トイレ砂がオシッコを吸収しても、その湿気が放出されるのは巣箱内ですから、土壌と同じ考えは通用しません。

よく「水槽は湿気がこもりやすい」と言われますが、その水槽で飼育していて湿気によるペレットにカビが発生する現象や、トイレが結露するような現象は全くありません。
それはしっかりと外気にさらされ、なおかつ空気が循環しているからです。
先に記述した特殊形状の巣箱は、この“空気循環”がまったく働かないために、巣箱内に貯蔵したペレットがカビたり、寝室天井部やトイレ部屋が結露する劣悪な環境を作り出しているということを使用者は理解してください。

自然界におけるハムスターの営巣は理に適ったものですが、それを飼育環境下で再現するには巨大なケージと良質な土を要します。
それが不可能であるために、現在の「ケージにチップを敷き、寝室用の巣箱を設置する」という方法が出来上がったわけです。
また、巣箱とトイレをケージの両端に設置するのは、トイレから巣箱へ戻るまでに手足の汚れをチップで除去するという目的(効果)もあるのです。
寝室とトイレが隣り合わせた特殊形状の巣箱では、このような衛生面が保てません。

巣箱はハムスターが余裕を持って眠れる大きさがあるのが大前提で、そのなかでハムスター個々の性格に合わせてサイズを調整するのがベストです。
そして、形状は円柱でも長方形でも構いませんが、床底が無いものとします。
これは床材の上にそのまま巣箱を設置することによって、ケージ内の床材=巣材となるからです。
また、これによってハムスター自身が床面のチップを掻き分けて、最適なサイズの寝床を作ることが可能になります。
以上のことから、大切なのは巣箱の形状とサイズであり、最初に記述したとおり巣箱の材質は何でも構わないということになります。

ただし!
紙製の巣箱は洗うことができないので、同じ物を数個用意する必要があります。
ですが、これは一個数十円~百円程度の商品がたくさんありますから、金銭的に圧迫されることはないでしょう。
※私は一個60円前後の組立て式紙箱を買いだめしてストックしています。
木製の場合は、洗浄後の乾燥に時間を要するので、やはり同じ物を2~3個用意しておいてローテーションして使うようにしましょう。
 

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